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ドラマ『アリバイ崩し承ります』原作小説の結末ネタバレ!7つの事件の時刻トリックとは?

2020年2月1日から浜辺美波さん主演で放送されているドラマ『アリバイ崩し承ります』の原作小説のあらすじを、ネタバレを含めてわかりやすく紹介しています。

原作小説『アリバイ崩し承ります』はどんなストーリーで、どんな結末を迎えたのか?
大山誠一郎さんの原作小説のはじまりから結末までを詳しくお伝えします。

ドラマで浜辺美波さん演じる美谷時乃は、原作ではどんな難事件を解決するのでしょうか?

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ネタバレ注意

当記事には、ドラマ『アリバイ崩し承ります』の原作小説『アリバイ崩し承ります』のネタバレが含まれています。先に内容を知りたくない方は、原作小説をご覧になってからお読みください。

『アリバイ崩し承ります』原作小説のネタバレ

大山誠一郎『アリバイ崩し承ります』には、全部で7つの作品が収録されています。

「美谷時計店」を営む美谷時乃(浜辺美波)は、先代の店主である祖父の方針で、時計の修理依頼の他に「アリバイ崩し」「アリバイ探し」の相談も受けています。料金は成功報酬で1回5,000円です。「僕(相談者)」が、偶然「美谷時計店」を訪れたことから物語は始まります。

「僕」は交番勤務から県警本部捜査一課に異動したばかりの新米刑事です。

事件の話を聞いた美谷は「時を戻すことができました。アリバイは、崩れました。」という決め台詞とともに、現場の刑事たちを煩わせた事件を解決に導きます。以降、刑事は事あるごとに「美谷時計店」を訪問し、美谷にアリバイ崩しを依頼することになるのでした。

第1話 時計屋探偵とストーカーのアリバイ

依頼内容・時計の電池交換
・アリバイ崩し
被害者浜沢杏子
犯人菊谷吾郎

あらすじ

僕が刑事課に配属されて1ヶ月の頃。

久々の休日に、引越してきたばかりの街、駅前の「鮎川商店街」の散策に出ると、ふと腕時計が止まっていることに気がつき、電池交換をしようと美谷時計店を訪れます。

ノスタルジックな店内。兎を彷彿とさせる女性店主の美谷時乃に時計の電池交換を依頼。そこで「アリバイ崩し承ります」という張り紙に気がつき、僕はヤケクソで今抱えている殺人事件の相談をします。

事件の概要

県立医科大学の教授・浜沢杏子(42)が、自宅のダイニングで刺殺体として発見されました。前日、夕食のシチューを食べる直前だったようです。

第一発見者は妹の杏子の妹・浜沢安奈(34)。安奈は姉のツイッター投稿をチェックしており、前日の夜に「寒気がするのでシチューで暖まります」と投稿していた姉の体調を心配し、翌日になって姉宅を訪問したのでした。

容疑者と思われる人物はすぐに特定できました。杏子へストーカー行為をしていた杏子の元夫・菊谷五郎です。杏子はギャンブル癖が治らない五郎とは離婚。安奈の話によると、しばらく平静でしたが、約2か月前から、家や職場(大学の研究室)に押しかけてはお金を無心していたと言います。

被害者の死亡推定時刻は「夕方から夜」、さらに捜査が進行し「午後7時」に絞られました。

被害者は殺害当日、正午に「弁当」、午後3時に「ケーキ」を食べており、毎度写真をツイッターに投稿、午後7時に「シチュー」写真をツイッターに投稿していました。

司法解剖の結果、被害者の消化器官からは弁当の内容物とケーキを食べた痕跡が見つかりました。弁当のほうが消化が進んでおり、ケーキの3時間前に食べたものと推定されますので、死亡推定時刻の「午後7時」と矛盾はありません。

ところが、容疑者の菊谷五郎には、午後6時から9時まで居酒屋「天の肴」で高校時代の友人2名と飲んでいたという完全なアリバイがあったのでした。

事件の真相

被害者は、昼休みに研究室の学生からすすめられた「大好物のハズの塩饅頭」を断っていました。美谷時乃はこの点から、胃の内容物を被害者自らが偽装工作したのだと見破ります。

実は正午に被害者が食べていたものは、なんと「お弁当に見せかけたケーキ」だったため、全ての行動は3時間前にずれます。すると、被害者の本当の死亡時刻は午後4時になります。被害者自らの胃の内容物で、菊谷五郎の犯行時刻を午後7時と見せかけるため、塩饅頭を食べることができなかったのです。

つまり、被害者・浜沢杏子と犯人・菊谷五郎は共犯関係であり、浜沢杏子が元夫の菊谷五郎に自分を殺してほしいと依頼をしたと考えると辻褄が合います。

実は、杏子の妹・安奈は友人の連帯保証人となっていたことから、2千万円の借金を抱えており2か月以内の返済を迫られていました。杏子の生命保険の3千万円が降りれば妹の借金を返すことができるため、密かに膵臓がんを患っていた杏子は元夫に頼み込んで自分の死期を早めてもらったのでした。

別れてからも浜沢杏子を愛していた菊谷五郎は、ガラの悪いストーカー役を演じ、しかたなく元妻を殺める役を引き受けました。代わりに浜沢杏子は医学的知識を駆使して、元夫が捕まることがないよう菊谷五郎のアリバイを作り、亡くなったのでした。

第2話 時計屋探偵と凶器のアリバイ

依頼内容・アリバイ崩し
被害者布田真
犯人平根勝男

あらすじ

「美谷時計店」の前でオロオロする僕。

捜査一課の刑事として、もう2度と利用しないと心に誓っていましたが、またしても自力では解決できない事件に遭遇し、恥を忍んで再びアリバイ崩しを頼むことにしました。

今回は「死体より先に凶器が見つかった」珍しいケースです。

事件の概要

事件の発端は、午後3時集荷の郵便ポストから1丁の拳銃が見つかったことでした。

近隣で頻発していた暴力団の小競り合いに関係していると思われた拳銃ですが、翌日に住宅で一般市民の死体が発見されます。

被害者は「大村製薬」勤務の布田真(30)。自宅のオーディオルームで射殺されていました。合計2発の弾丸が発射されており、最初に太ももに1発、次に口から脳天を貫通して1発。2発目が致命傷となっています。弾丸の腔旋跡から、凶器はポストの拳銃であることが判明しました。

凶器の拳銃は暴力団関係者経由ではなく、ネットを通して買われたものでした。密売人が県内に卸した拳銃は2丁(ワルサーPPK32口径・FNブローニングM1910)あり、後者が犯行に使用されたものであると判明。ただ、受取には郵便局留が利用されており、2名の購入者の氏名住所はデタラメであるため、ここから犯人のしっぽをつかむことはできません。

暴力団関係者からの情報で、被害者の上司に当たる人物が容疑者として浮上します。製薬会社の生産管理課の課長・平根勝男が、暴力団に自社のモルヒネ塩酸塩を横流ししているという情報を入手したのです。実際、平根勝男の暮らしぶりは派手でした。不正に気がついた部下の布田真を、平根が拳銃で始末したのでしょう。

被害者の死亡推定時刻は午後2時から4時の間ですが、凶器の拳銃が午後3時までに投函されていることから、犯行時刻は午後2時から3時までに絞られます。

事件当日、平根勝男は正午から3時まで親戚の集まりに出席しており、アリバイがあるため、このままでは逮捕することができません。

事件の真相

被害者殺害に使用されたのは、ポストの拳銃(FNブローニングM1910)ではなく、県内で購入されたもう1つの拳銃(ワルサーPPK32口径)であると美谷時乃は見破ります。

2丁の拳銃は同じ口径で両方とも平根勝男が購入したもので、あたかも午後3時に回収されたポストの拳銃で致命傷を負わせたように偽装されていたのです。すると、被害者の死亡推定時刻から除外されていた、午後3時から4時までが本当の犯行時刻となり平根勝男のアリバイは崩れるのです。

簡単に説明すると、平根勝男は午前中にモルヒネで被害者を眠らせ、ポストの拳銃で「被害者の太もも」と「床」を撃ち、午後3時に回収されるようにその拳銃をポストに投函。親戚の集まり終了後、再び被害者宅へ行き、もう1つの拳銃で被害者の頭を打ち抜きました。その銃弾は頭の下に敷いた砂袋などで受け止め回収したと考えられます。

弾丸の腔旋跡が銃器の指紋であるため、トリックには最新の注意が払われていたわけです。

第3話 時計屋探偵と死者のアリバイ

依頼内容・アリバイ崩し
被害者中島香澄
犯人磯田幸三

あらすじ

「美谷時計店」の店内で、はたきをかける美谷時乃に迎えられた僕。忸怩たる思いではあるのですが、背に腹は代えられないため、アリバイ崩しの依頼をします。

今回は、犯人は自分が殺害したことを自白しているため事件は終わっています。しかし、犯人にはアリバイがあり、しかも自白直後の交通事故によって亡くなってしまったので話を聞くことができなくなってしまったのでした。

事件の概要

僕は住宅地で男性が車に跳ねられる場面に遭遇しました。直前に「危ない」と叫びましたが、男性は気がつかなかったようでした。交通事故の時刻は午後8時ちょうどでした。

救急車を呼び、男性に声を掛けると、男性は中島香澄という女性を殺害したといいます。女性の住処を尋ねると苦しそうに目を閉じ、続けて殺害場所を尋ねると「藪マンションの503号室」と答えました。その後、犯人と思われる男性・奥山新一郎(37)は交通事故が原因で死亡。職業は推理作家でした。

藪マンションの503号室には、僕の通報により捜査員が駆け付けており、奥山新一郎が言った通り、中島香澄の絞殺死体がありました。首には何度か絞められた跡があり、中島香澄の爪には奥山新一郎の顔のひっかき傷の皮膚片が残されていて、自供通り奥山新一郎が犯人で間違いはなさそうです。

奥山新一郎の担当編集者に話を聞くと、中島香澄とは恋人同士の関係でしたが、奥山新一郎が最近になって別の女性に心を移していたことが判明。男女関係のもつれが殺害の動機になったと考えられます。

中島香澄の死亡推定時刻は午後7時30分~8時30分。奥山新一郎が自宅の近くで事故に遭った時刻は午後8時ちょうど。よって、犯行時刻は午後7時30分~8時の間ということになります。

ところが、奥山は午後7時20分に自宅で宅配便を受け取っており、奥山の自宅と香澄の自宅の間は往復で40分かかるので、犯行を犯すには時間が足りないのです。

自供も、物証も、動機もある。書類送検するのは簡単なように思えましたが、事件の細部を詰めたところ、奥山新一郎のアリバイが成立してしまったのです。

事件の真相

事件には思いもよらないような真実が隠されていました。

奥山新一郎は耳が聞こえず、読唇術で相手の唇の動きを読んで、相手が言ったことを理解していたと美谷時乃は見破ります。奥山新一郎は誰にも耳のことは明かしていなかったようです。

言われてみれば、奥山新一郎の部屋にCDは1枚もなく、女性との連絡は全てメール。思い当たることは色々ありました。

すると、事故直後の会話で、女性の住処を尋ねると苦しそうに目を閉じ、続けて殺害場所を尋ねると「藪マンションの503号室」と答えたことの解釈が異なってきます。殺害場所を問うたとき、奥山は目を閉じていました。つまり、「藪マンションの503号室」というのは一つ前の質問、女性の住処に対する答えで、殺害場所については回答していないのです。

実は、奥山新一郎は自宅で中島香澄の首を締めていました。殺人してしまったことに気が動転した奥山新一郎は自宅を飛び出し、交通事故に遭います。一方、中島香澄は息を吹き返し、自力で自分のマンションに帰宅します。つまり、中島香澄を殺したのは奥山新一郎ではなかったということになります。

一命をとりとめた中島香澄の災難は続きます。部屋に戻ると、503号室の合鍵を持っている大家の磯田幸三が忍び込んでいたのです。磯田幸三は奥山新一郎のファンだったので、奥山に依頼され中島香澄の弱みになるようなモノを物色していたのでした。中島香澄が予想より早く帰宅したことでパニックになってしまった磯田幸三が思わず首を絞め中島香澄の命を奪ったのでした。

ちなみに、奥山新一郎のデビュー作は「時計仕掛けのアリバイ」で、アリバイ崩しのテーマを得意としていましたが、自身の身に起こった事については何もしておらず、偶然と誤解が重なり、アリバイが成立しただけ、ということでした。

第4話 時計屋探偵と失われたアリバイ

依頼内容・アリバイ探し
被害者河谷敏子
犯人芝田和之

あらすじ

「アリバイ崩し」ではなく、「アリバイ探し」を美谷時乃に依頼する僕。

罪を着せられそうになっている容疑者の女性の無実を証明したいという依頼です。その女性は、高校の頃僕が好きだった女の子に少しだけ似ていました。

事件の概要

ピアノ講師・河谷敏子(33)の遺体が、自宅兼レッスン室となっているマンションで発見されます。遺体の後頭部にはピアノの角に何度も叩きつけられた痕跡がありました。

被害者の死亡推定時刻は午前9時~正午です。事件当日、河谷敏子は午前10時~午前11時にマッサージ店「里楽贅処」で施術を受けていました。帰宅には20分かかるので、犯行時刻は午前11時20分から正午にかけての40分間に絞られます。

「里楽贅処」経営者・芝田和之の情報で、容疑者として名前が浮上したのは、被害者の妹・河谷純子でした。姉妹は両親から相続した土地を巡って対立していたのです。

河谷純子には事件当日のアリバイがありません。バーに務めているので通常は午前6時就寝午後2時起床ですが、事件当日は午前6時から午前零時まで18時間眠っており、バーを無断欠勤しています。

さらに、河谷純子は夢遊病に悩んでおり、当日に限って変な夢を見たといいます。起きると手や寝間着に血が付着していて、新聞で河谷敏子の死を知ると、夢遊病の発作で姉を殺害してしまったのではないかと怯えた様子でした。

バーのママの話によると、河谷純子はとても真面目な子で、これまで無断欠勤は1度もなかったし、人を殺すような人物ではないと言います。警察は河谷純子が嘘をついていると決めつけていますが、僕自身は河谷純子は無実であり、睡眠薬を盛られて犯人に仕立てらているのではないかと推測しています。

事件の真相

被害者である河谷敏子は真犯人の芝田和之の共犯者であったと美谷時乃は見破ります。

芝田和之は好青年で女性にモテていましたが、マッサージ店の開業資金を出資したお金持ちの妻第一でしたので、他の女性に深入りはしませんでした。しかし、芝田和之と不倫関係にある河谷敏子が結婚を迫ったので、困った芝田和之は河谷敏子を亡き者にしようとします。

もちろん河谷敏子としては、自分が殺される計画に乗ったのではありません。芝田和之は河谷敏子には、妻を殺害する計画と言い、河谷敏子のアリバイ作りのためと称して、妹の河谷純子を利用させることに成功したのです。

河谷敏子の共犯者としての役割は、芝田和之に河谷純子の家の鍵を渡すこと、河谷純子の見た目を河谷敏子に寄せることでした。

犯行前日、ワインに睡眠薬を仕込み、河谷純子を眠らせます。犯行当日、河谷純子を河谷敏子宅へ運び、敏子風メイクを施します。その時点で、用済みになった河谷敏子は芝田和之に殺害されます。殺害時間は死亡推定時刻の午前9時台です。

その後、芝田和之は敏子風の河谷純子を店に運び、マッサージを施します。終了すると、送り出すふりをしてベッドの下に隠し、閉店後、河谷純子宅に侵入しベッドに戻します。

その間のことが、夢遊病の間に見た河谷純子の夢の現実です。午前10時から午前11時までマッサージ店にいたのは、河谷敏子ではなく眠っている河谷純子でした。

マッサージ室のベッドの下から河谷純子の指紋が見つかり、芝田和之は逮捕されました。

第5話 時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ

依頼内容・時計購入

あらすじ

部屋があまりに汚いので掃除をしていたら、壁時計を落として壊してしまった僕。「美谷時計店」に新しい時計を買いに行きます。

美谷時乃は作業台の上の「謎の箱」の手入れをしています。不思議に思って尋ねると、祖父から「時間を動かす道具」と聞かされていると言います。

今回は事件ではなく、小学4年生の美谷時乃がアリバイ崩しを習得するために、祖父から出された問題を僕が考えるというものです。

事件の概要

祖父は、お店にある振り子時計を特定の時間に止める(=犯行)と言い、それを美谷時乃に確認させます。

指示通りのタイミングで確認すると、午後3時20分、振り子時計が動いており、午後3時30分、振り子時計は停止していました。

この犯行は、この10分間の中で行われたことになりますが、午後3時30分、祖父にはアリバイがありました。駅前の壁時計の前で写真を撮っていたのです。

事件の真相

写真は祖父の足元や左手、地面が写っておらず、トリミングしたような不自然さがありました。

写真は、時計の目盛りが1つずれるようにカメラを左に30度傾けた状態で撮られていたのです。つまり、駅前の壁時計は、本当は2時20分を示していたのでした。

一見同じに見えても、2時20分と3時30分とでは、短針の角度が2.5度違うので、定規と分度器で確認するとアリバイを崩すことができるのです。

祖父は写真撮影のため、地面に対し30度傾いて立たなければならなかったので、「時間を動かす道具」と称した特殊な形状の台をこしらえたり、自分の体を支えるために筋トレをしたりと、孫と遊ぶために陰で頑張っていたのでした。

第6話 時計屋探偵と山荘のアリバイ

依頼内容・アリバイ崩し
容疑者(僕除く)上原千恵
野本和彦
原口龍平(中学生)
里見良介(オーナー)
里見万希子(オーナー)
被害者黒岩健一
犯人野本和彦

あらすじ

「鮎川商店街」を人目もはばからず駆け抜ける僕。閉店前の美谷時計店に駆け込みます。

休暇中に訪れたペンションで起こった殺人事件についてです。宿泊客の中で唯一アリバイのない人物がいましたが、それは中学1年生の少年だったのです。

警察官を志望する少年が殺人を犯すとは思えず、真犯人のアリバイ崩しの依頼をしました。

事件の概要

ペンション「時計荘」の庭にある大きな時計台の中で殺人事件が起こりました。被害者の名前は黒岩健一。ペンションのプレイルームに置かれていた鉄アレイで撲殺されていたのです。

被害者の死亡推定時刻は午後11時~午前0時。

その頃、僕の部屋で僕と原口龍平少年は警察官の夢について語り合っており、午後11時に黒岩健一が時計台に入っていくところを窓から一緒に目撃しています。僕は11時10分までは時計台に誰も入っていないことを確認しているので、犯行可能時刻は11時10分~午前0時となります。

原口龍平は午後11時に自室に戻り就寝。僕が11時11分にバーカウンターに行こうと部屋を出ると野本和彦と遭遇。一緒に向かうと、バーカウンターには上原千恵と里見夫妻がおり、午前0時まで語らっていたのです。

すると、犯行時刻にアリバイがないのは原口龍平だけということになってしまうのです。

事件の真相

時計台へと続く道には雪が積もっており、3本の足跡が残されていました。サイズ25の靴で時計台に向かう片道の足跡。それと長靴で往復する足跡です。サイズ25の靴と長靴では、長靴の方が後からつけられた足跡となります。

被害者・黒岩健一がサイズ25の靴を履いていたことから、犯人は黒岩健一の後に時計台に行ったと考えられていました。

ところが、黒岩健一が元々履いていたのはサイズ25の靴ではないと美谷時乃は見破ります。黒岩健一は、時計台へ行く途中で一度立ち止まり母屋の様子を伺っていたのに、サイズ25の靴の足跡にはその形跡がなかったのです。立ち止まった形跡があったのは長靴の足跡の方です。

つまり、サイズ25の靴を履いた犯人が黒岩健一より先に時計台に待機しており、犯行後、自分の靴と黒岩健一が履いていた靴(長靴)を取り替えたということになります。

黒岩健一より前に時計台に行き、午後11時10分以降にペンションに戻った人物、午後11時前から11時10分までのアリバイがない人物、男性で靴のサイズが25の人物というとことから、犯人は野本和彦であることが判明しました。

実は、黒岩健一と野本和彦は幼馴染でした。野本和彦は何の気なしに声を掛けたのですが、黒岩健一は逃走中の詐欺グループのメンバーであったため、正体がバレたと疑心暗鬼になってしまったのです。そこで、黒岩健一は野本和彦を殺そうと時計台に呼び出していたのですが、返り討ちに合って逆に殺されてしまったのです。

第7話 時計屋探偵とダウンロードのアリバイ

依頼内容・アリバイ崩し
被害者富岡真司
犯人和田英介

あらすじ

「今回のアリバイは、脆弱といえば脆弱なものなんです。だけど、崩そうとしてもどうしても崩せなくて……」と言い、やむなく美谷時乃の力を借りる僕。

事件の概要

5年前まで小さな健康器具販売会社を経営していた富岡真司(65)が玄関先で殺害されるという事件が発生したものの、しばらく進展がありませんでした。

3か月後、事態は急変します。被害者から家と土地を相続した姉が、更地にしようと業者に工事をさせると、庭の木の根元から白骨死体が見つかったのです。被害者が生前、近所から「お化け屋敷」と言われるほど庭を荒れ放題にさせていたのは、この白骨死体を隠すためだったと思われます。

白骨死体が身につけていた背広には「和田」というネームが入っており、かつて富岡の会社で経理を担当していた和田雄一郎という人物が、会社の金を一千万円横領し、13年前に失踪していることが判明しました。実際には、富岡に殺され庭に埋められたのだと推測できます。

したがって、富岡真司が殺されたのは、白骨死体(和田雄一郎)の近親者による「復讐」であると考えられ、和田の息子である和田英介(21)が容疑者として浮上しました。

富岡真司の死亡推定時刻は午後9時前後ですが、和田英介は事件当日の12月6日、午後7時から午前0時まで自宅で友人と共に過ごしており、1日限定の配信音源「キャッスル・オブ・サンド」を友人の目の前でダウンロードしていることから、アリバイがあるといえました。

事件の真相

和田英介が友人の古川桔平を部屋に入れたのは、12月6日ではなかったと美谷時乃は見破ります。12月5日、和田英介は自室の全ての時計を15分遅らせておきます。古川桔平の前で曲をダウンロードしていた本当の時刻は、6日の午後11時45分ではなく、6日の午前0時でした。

2人が宅飲みしていたのは正確には12月5日でしたが、2人は月に何度も宅飲みする関係であり、数ヶ月前の話となるため、古川桔平の記憶は「印象的な出来事」以外は曖昧になっていると和田英介は目論んでいたのです。

6日の午前0時にダウンロードした履歴を削除し、6日の午後11時46分にもう一度ダウンロードすることで、和田英介は12月6日のアリバイを作ったのです。

原作小説からドラマ『アリバイ崩し承ります』の結末予想

小説の結末は、ある日「美谷時計店」が閉まっており心配していると、いつもの作業着ではないワンピース姿の美谷時乃が現れます。祖父の命日なのでお墓参りに行くとのこと。祖父様にお礼を言いたいので、同行したいという僕の申し出を、「祖父も喜ぶと思います」と言って承諾し、爽やかな雰囲気で幕が閉じられます。

2人の関係は「趣味友」に近いものがあると感じました。

小説の「僕」は交番勤務から県警本部捜査一課に異動したばかりの新米刑事ですが、ドラマでは安田顕さんが演じる「察時美幸(さじ・よしゆき)」が、小説の相談者「僕」に当たり、左遷されてきた警察キャリアという設定に変更されています。プライドが高いという設定は「僕」のクセが強くなったキャラ設定のように感じられます。

浜辺美波さん演じる美谷時乃も、小説では基本時計店から出ることがありませんが、ドラマでは察時美幸と一緒に捜査を行うようです。

最終的に、難事事件を解決していくうちに、2人の関係は小説よりバディ感が強くなるのではないかと予想します。